香りの持続力に長けたレモン系精油3種
オレンジ、マンダリン、レモン、ライムなど、柑橘系果実の香りは、爽やかでスッキリしており、日本でも大変人気です。しかし、人気があるにもかかわらず、柑橘系果実の精油は一般的に香りが定着しづらいという特徴があります。ライムやグレープフルーツなどの一般的な柑橘果皮油には、リモネンが60〜95%含まれ、高い揮発性を持ちます。リモネンは柑橘果皮油に明るく甘い香りを与えますが、用途が香水の場合は、トップノートに限られます。
オーストラリア産レモン系精油の利点は、その持続力にあります。オーストラリアで生育する木々の枝葉から抽出された精油は、高濃度のシトラール成分を含有しており、天然の柑橘系果実の精油の香りと比較して長い持続力を発揮します。特にスキンケア商品の香料や香水などへの配合が推奨されます。
レモン・マートルオイル(Backhousia citridora)
こちらの精油は天産物の中で、シトラール含有量が最も高く、しばしば「レモンよりもレモンの香りが強い」と表現されます。
レモンマートルの香りは、高いシトラール含有量により、新鮮、爽やかかつ、若干の甘みがあります。シトロネラールも含まれており、複雑で多面的なアンダートーンもあります。オレンジ、ジャスミン、ライムなどの他の柑橘系のトップノートと、ユーカリ、パイン、ローズマリーなどのハートノートともよく調和します。
レモンマートルは強力な抗真菌作用と抗菌作用を持つことで知られており、これにより自然派のクリーニング製品でも人気があります。この油は虫除け効果もあるとされ、何十年もの間、香水やアロマテラピーに使用されてきました。高いシトラール含有量を持つため、天然の抗酸化物質としても活用可能です。フリーラジカルを阻害し、皮膚をダメージから保護するのに役立ちます。
レモンマートルの主成分はシトラールで、全成分の85%を占めます。レモンマートルは前述の通り、優れた抗菌作用付与しますが、オレンジをレモンマートル配合の溶液に120秒間浸透させたところ、コントロールと比較してより少ない真菌の損傷を示しました(Mohammad et al.、2022)。2003年にLim et al.によって発表された研究では、1%のレモンマートルオイルがフェノキシエタノールと同様に真菌、酵母、細菌の成長を抑制したことが実証されました。現在、レモンマートルがフェノキシエタノールに匹敵する抗菌機能を持つ天然由来防腐剤として評価する研究が各所で進められています。
レモン・センテッド・ティーツリーオイル(Leptospermum petersonii)
レモン・センテッド・ティーツリーという植物は、有名なティーツリー(Melaleuca alternifolia)とは異なる、オーストラリア固有の植物です。
甘く新鮮な柑橘の香りで始まり、ゆっくりとハーブのニュアンスに移行します。清潔感を連想させ、終始フレッシュな香りが持続します。ティーツリーオイルの鋭いカンファー様の香りをマスクする効果があり、それによりスキンケア製品への用途が推奨されます。
強力な抗菌特性を持ち、特に真菌対して有用です。臨床試験において虫除けとしての効果も実証されています。アロマディフューザーの使用により、レモン香りのティーツリーオイルは30分以内で真菌のコロニーを抑制します(Hood et al., 2010)。マイカファンジン、カスポファンジン、ボリコナゾールなどの主要な抗真菌薬との比較臨床試験で、当精油の効果が実証されています(Hood et al., 2010)。
レモン・センテッド・アイアンバークオイル(Eucalyptus staigeriana)
このオイルは、レモンマートルやレモン香りのティーツリーと比較して、レモンの鋭い香りが少なく、甘く開放的なノートから始まり、柔らかな花の風味で終わります。また、強力な抗菌、抗真菌、抗ウイルス作用も持ち合わせており、スキンケア製品や天然志向の洗剤に有用です。
シトラール、リナロール、ユーカリプトールという天然成分のブレンドが非常に特徴的で、このブレンドの複雑さが、その独特な柑橘様の香りを生み出しています。
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